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うさぎ

夜のフェアリー126


「オスカル、僕が森の中の離宮で暮らしていたことはご存知ですよね」

「ええ、お体が弱くて、城で暮らせなかったとおっしゃいました」

何故ジョゼフが今頃そのことを口にするのかオスカルは不思議に思った。

「実は・違うのですよ、僕が城で暮らせなかったわけは・・・」

ジョゼフは今まで口にしたことがなかった事実をオスカルに話し出した。


「僕が誕生し3年くらいでした、父は跡継ぎが生まれたのを、自慢したくてその頃から夜会に僕を出していました」

「周りは大人ばかりで、酒を飲む中、小さな僕だけ果物のジュースを飲んでいました」

「ある日、僕用の飲み物を口にし、しばらくして僕は口から血を吐いた。」

「早急に医者を呼び治療したので幸い命を取り留めたのですが、原因は果物のジュースに何者かが入れた毒だった」

毒!まさか 誰かがジョゼフを亡き者にしようと?

オスカルはゾッとした。

「犯人は見つかりませんでした、しかし僕は毒によって寝込む生活となったのです、父は弱った僕を再び狙うものが現われないとも限らないと、僕を城から出して離宮で暮らさせる決意をしました」

「離宮には信用できる使用人だけを入れ、父の許可なく立ち入ることは許されず、警備も万全にして、そこで僕の闘病をさせることにしたのです」

「何年もの間乳母のエマと使用人達とで暮らしました、時々会いにきてくれる両親と暮らせる日々を夢見ながら」

「そのうち僕は健康を取り戻し自分の身を守れる年になったので、城に戻るのを許されました」

「その時母はすでに亡くなっていましたが、それでも僕は、城に戻り自由になれることがうれしかった」

「僕が城に戻ることを父が国民に告げると皆喜んでくれて、国中を挙げてお祭りして僕の帰還を祝ってくれました」

「城でも、僕を迎えるためかなり華やかな宴が催され、貴族達は皆招待され賑わったのです」

「宴もたけなわになり、叔父のガストン公がもう一度乾杯しようと言い出し、メイドに命じてワインとグラスをもって来させました」

「目の前でそれぞれのグラスにお酒を注ぎいれ、叔父がその中のひとつを僕の前に出して「お前も一人前の年齢になった、一緒に乾杯しよう」といって僕にグラスを手渡したのです」

「僕はワイングラスを受け取り、初めてのお酒に戸惑いグラスの中をじっと眺めると小さな粉上のものがかすかに底にあるのが見えました」

「異物が入っているようで気になり、とは思うものの叔父がせっかく入れてくれたワインを断るわけにも行かず、困っていたところ」

「叔父のワイングラスに眼が行きました、叔父は他の貴族に乾杯のためのグラスを手渡している途中でした」

「僕は急いで自分のグラスと叔父のグラスとを交換して何食わぬ顔で乾杯してワインを口にしたのです」

「その後宴が終わったその次の日に叔父が自分の屋敷で亡くなったことが知らされました。」

オスカルは、そこまで聞いてハッとした。

「ジョゼフ!それでは!?」

いつの間にかジョゼフの顔は青ざめていた。

「ガストン公の屋敷を調べると自室から毒薬が出てきました、その薬はすぐには効果が出ず、ある程度時間が経ってから死に至る毒でした。」

「以前は僕が幼なくて効果が早かったのでしょう、それで発見が早まり失敗に終わった」

「ガストン公は、オルレアーノ国の次の国王になりたかった、そのためには皇太子の僕が邪魔だった」

ジョゼフは悲しげにオスカルを見るとふっと笑った。

「叔父は、僕を殺そうとして反対に僕にしてやられたんだ」

「僕は人を殺してしまったんです」

それまで呆然としていたオスカルだがジョゼフの自虐的な言葉を聞き、はっと我に返った。

「あ・貴方のせいじゃ、ありませんよ!」

「オスカル・僕が貴方のしたことなどたいしたことないって言った意味がわかったでしょう?」

ジョゼフは無理に笑顔を向けた。

その顔はいつものジョゼフの笑顔だが、瞳に悲しみが宿っているのがわかる。

この方は自らの辛い過去の出来事を聞かせ、僕の罪の意識を取り除こうとした

僕の罪悪感を消そうとしてくれたんだ。

オスカルはジョゼフの肩を握り締め、言葉を返した。

「ガストン公は、自らの罪で神からの捌きを受けたんです!」

「ジョゼフ・貴方のせいではない・・事故だったんです」

「決して貴方が手を下したんではない・・」

いつの間にかオスカルの両目から涙がポロポロと流れ落ちた。

オスカルは悲しくて悔しかった。

何故このような身も心も高貴なお方が辛く苦しい目に会わなければいけないのか?・・

ジョゼフは泣いているオスカルの顔を見つめ、ああこの人は、やっぱり女性だ

だって目の前のこの人は誰より慈愛に満ちて神々しいほど・・綺麗だ。

ジョゼフはオスカルが置いた手をそのままにして、オスカルを引き寄せ抱きしめた。

「ジョゼフ・・?」

「オスカル・・ありがとう」

「貴方の涙で僕は罪を許されたような気がする」

オスカルはそれを聞き、安堵して返事を返した。

「お礼を言うのは僕のほうです」

「僕は今まで自分だけが辛い人生を歩んでると勘違いしていました」

「けど僕はジョゼフのように命を狙われ恐ろしい眼にあってはいない!」

オスカルもジョゼフを抱きしめ返した。

貴方は王子として生まれただけでこのような眼に・・

僕は許せない、こんな尊い人に罪の意識をもたらすなど 僕は許すことなど出来ない!


「オスカル・・・僕も貴方も、自分の力ではどうしようもないことってあるんですよ」

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うさぎ
Posted byうさぎ

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2019/02/24 (Sun) 19:06
うさぎ

うさぎ

Re: タイトルなし

AN様こんにちは。

オスカル様とジョゼフ殿下余計に友情を深めてしまいました。

お二人の盛り上がりぶりをアンドレが見たら・・・AN様の考えどおり怖いですね(震)

オスカル様は殿下をお守りするべき方と見ているから殿下を第一に考えるかもです。

そうなると、やはりアンドレが・・・

しかし、オスカル様、やはりアンドレのこと考えてないわけではないのです。

今日はそれをジョゼフに言ってしまいます。

2019/02/25 (Mon) 16:39