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うさぎ

夜のフェアリー127

「貴方を慰めようとしたけれど、結局慰められたのは僕のほうだった」

オスカルは急いでとんでもない、と顔を上げ、改めてジョゼフの眼をしっかりと見つめその手を握った。

「いいえ、貴方はもっとも辛い過去の出来事まで打ち明けて、僕の罪悪感を消そうとしてくれた」
「それは僕にとって何よりの慰めです」

オスカルが感謝の言葉を述べるがジョゼフの心は重かった。

「でも僕の過去とは違い、貴方はこれからも苦しみが続く・・・」
「女性なのに男として生きるなど・・・」

そのまま黙り込むと、やがてジョゼフは自らが思いついた案を述べていった。

「オスカル、僕と一緒にオルレアーノに行きませんか?」

「貴方と一緒に?」

僕が、ジョゼフの国へ?・・・

「そうです、家族も何もかも捨てて、人生をやり直してみてはどうですか?」

「それは・・どういうことなのです?」

オスカルはジョゼフの真意がわかりかねた。

「貴方が僕とオルレアーノに行くと答えてくれるなら、僕は貴方を連れて国に帰る」
「そして、父に頼んでしかるべき地位を与えてもらい、一緒に城で暮らしましょう、もちろん女性として」

あまりにも唐突で考えても見なかったジョゼフの提案にオスカルは戸惑った

「お待ちください、僕にはジャルジェ家の跡継ぎとしての役割がある」
「僕がいなくなると父も母も・イヴリンだって屋敷を追い出されるでしょう」
「父は金持ちの暮らししか知らない・・母との別れを言い渡されれば、その条件を飲むしか無い人です」

それについてはジョゼフも辛いが仕方ないと考えた。

「ご家族のことは、僕にはどうすることも出来ませんが、暮らしに必要なだけの援助はさせていただきます」
「それに僕には貴方がご家族と離れなければ本当の自由にはなれないように見うけるのです」
「貴方の祖父、父、母の誰もが男性としての貴方しか認めない、失礼ですがそんなご家族といても幸せになれるはずがない」

ジョゼフの好意に感謝する気持ちではあったが、やはりオスカルには受け入れられない。

「僕に手を差し伸べようとする貴方の好意は・本当にありがたく思います・・けど、やはり僕にはお受けできません」
「人からの同情で生活をしていくなど、プライドの高い父には耐えられません」

「父は母と一緒になって祖父と不仲になってしまった、父は祖父にまた認められたいと思ってる、だからこそ新しい事業に力を注いでいるのです」
「僕は・その夢をつぶしたくは無い」

「何故貴方はそこまで・・?」

しかし、それでもジョゼフは納得できない

「では貴方はこれからもずっと男性として生きる運命を受け入れるつもりですか?」
「貴方は・貴方を男子としたお父上を恨んだことは・ないのですか?」

父を・・恨む・・・?

オスカルは握っていたジョゼフの手をそろそろと解き、彼の問いに対してどう答えるべきか考えた。

確かに恨んだことは無い、といえば嘘になる。

しかし、それでも父のやったことを全て否定しきれない自分がいる

だからこそ、僕は父の言いつけどおりにここまで来たのだ。

「僕も最初は父のしたことを恨む気持ちがありました、僕に全てを押し付けたんだと、でもだんだんと父の気持ちも理解できるようになったのです」
「・・・僕は今思うのです・・父が、母を見捨てる人でなくて良かったと」

「母は僕を女だと認められなくて病んでしまうほど心弱い人だ、その母を父は見捨てなかった、僕はその時の父の気持ちがわかる気がするのです」
「母は傷つくことに耐えられない、いつも脆く壊れてしまいそうで、守ってあげたくなる」
「父は確かに僕を男として育て祖父を世間を騙したかもしれない、けれど僕が女だとわかった時点で母を見捨てたとしたら、僕はもっと父を許せなかったでしょう」

男子が生まれなければ母は妾にするよう言われていた。

単なる囲われ者なら、金だけの関係、邪魔になればいつでも捨てれる。

祖父にとって都合のいい妥協案だったのだ。

父は祖父の考えがわかっていた。

「僕は父を、祖父を、そして母をも恨むことが出来ないのです」

オスカル、貴方という人は・・・

全ての責任を一人で負うというのですか?

女性に生まれた、それを否定されてでも!

ジョゼフのうな垂れた様子を見て、本気で自分の女としての人生を心配してくれたことに感謝を覚えた。。

そのジョゼフにオスカルは安心してもらいたいと思った。

「ジョゼフ・ありがとうございます、こんな僕を心から心配してくださって・・」
「でも安心してください、僕は女性としての人生を失ったわけではありません」

オスカルはジョゼフにわかってもらいたかった、自分は幸せを見つけたのだと。

「父は自分が当主になったあかつきには僕を女に戻すと約束してくれました、しかし、それはいつになるかは定かではありませんが・・」
「それで僕は以前は女性としての人生をあきらめていたのですが・・・オーランドに入学して僕の人生が変わったのです」

「好きな人が・・恋人が出来たんです」

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Posted byうさぎ

Comments 2

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2019/02/25 (Mon) 18:34
うさぎ

うさぎ

Re: タイトルなし

AN様こんにちは。

ジョゼフ殿下の提案、やはりプロポーズに聞こえますよね、「いずれ僕の妻に・・・」って感じです。

オスカル様は鈍いのとジョゼフは友情から力になろうとしてくれている、と思い込んでるから、ついついアンドレのことを口にしました。

AN様ハラハラされたでしょう(笑)

今回さらに殿下の気持ちを知らないオスカル様は自分の恋バナを殿下に聞かせます。

それを聞く殿下の胸のうちは?・・・

そして、それを知らないアンドレは?・・・ご心配でしょうけど見守っていてください(笑)

2019/02/26 (Tue) 09:23