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うさぎ

夜のフェアリー149

次の日、オスカルは久しぶりに学校に行った。

しばらくぶりなため、懐かしいとさえ思い校舎を眺めているとフロレルに出会った。

「オスカル久しぶりだね」

「おはよう・フロレル」

「どうだった?殿下と一緒のロアンヌ村は?」

興味深げに聞いて来るのでオスカルは少し考え返答した。

「殿下との休日は・・いろんなことがわかった」
「フロレル・・結局選べるのはひとつだけってことだ、大事なものは、間違えてはいけない、それを殿下は僕に教えてくれた」

「それってどういう意味だい?」

オスカルはそれには答えず教室に急いだ。

「早く行かないと遅刻するぞ、僕は先に行くからな」

教室に入ると同級生達がオスカルを見て話しかけてきた。

「オスカル、久しぶり!」

「オスカル、オルレアーノの殿下との休暇はどうだった?」

「王子のお付きでの帰省だったんだろう、ロアンヌ村でのことを聞かせてくれよ」

皆、オスカルがジョゼフ殿下とのことを聞かせてくれと集まってきた。

何せ、王国の王子の接待役を任されたのだ、注目を集めるのは無理も無い。

オスカルも仕方なく質問に答えることにした。

「殿下を歓迎してさぞかし華やかな催しがあったんだろう?」

それについてオスカルは、パーティーやお茶会でのことを教えた。

「バラ農園主や名士を招待してのジョゼフ殿下を歓迎するパーティーが開かれたんだ」
「ロアンヌ村全ての農園主が自分達のところで作ったバラを届け、村ではめったに無いほど盛大なパーティーだった」
「ジョゼフ殿下の希望でお茶会も開いたんだが、そこで殿下はピアノを披露するといって僕とセッションを望まれたんだ」
「殿下はピアノの名手で僕のバイオリンなど足元にも及ばないが殿下のリードで何とかやり終えたよ」

「やはり、オスカルは特別なんだな、王国の王子を屋敷に招き、その接待を仰せ付けられるなんて」

「ほんとほんと、いずれは名門のジャルジェ家の当主になる身分だものな」

オスカルの話を聞いてクラスメイト達は改めてジャルジェ家の権威を見せ付けられる思いがした。

「ロアンヌ村への同行は王子のたっての願いだったんだって?さぞや親しくなれたんだろうな」とジョゼフとのことを聞かれた。

オスカルは考え深げに答える。

「ジョゼフ殿下とは、確かに良い関係を築けたと思う・・」

「殿下は、とても聡明で才能豊かな方だ、あのような方と一時でも親しく出来たのを光栄に思う」
「とても・・良い思いでになった」

オスカルはジョゼフとのことを思い出すと今でも胸が痛む。

やはり彼は大事に思う人だった。

オスカルが同級生に囲まれて話をしている様子をアンドレは黙って聞いていた。

また授業が始まり、休憩を繰り返し、やがて昼休みになった。

オスカルは席を立つとフロレルが声をかける

「オスカル、食堂に行かないの?」

「ああ、今日はお弁当でね、外で食べるとするよ」

バスケットを手にして教室から出て行くときに途中の席のアンドレにこっそり「温室で待ってる」と目で合図した。

オスカルはバラの温室への小道を歩いた。

いいお天気だ、木漏れ日が美しいな・・・

温室が見えてくると懐かしいとさえ思う、バラ達は元気だろうか?

扉を開けると日の光に当たったバラ達が綺麗に咲き誇り、まるで僕を出迎えてくれるみたいだ。

ただいま、お前たち、元気にしてたか?とバラ達に話しかける

温室につくと早速ベンチに座ってバスケットを開く。

ばあやが作ってくれた木苺のジャムをはさんだサンドイッチだ。

今日はそれにぶどうのジュースも持参した。

実はサンドイッチはオスカルが朝早くにおきて作ったものだ。

木苺をパンに挟んだだけだが、それでも彼に喜んでもらおうと必死になって作った。

いそいそと準備し、早く来ないかな、と考えているとアンドレが扉を開いて現れた。

オスカルはうれしさのあまり立ち上がりアンドレに駆け寄った。

「今日のサンドイッチは僕が・・・」

言いかけるとアンドレはオスカルの腕を取り、すぐに抱きしめた。

「ア・アンドレ・・」

何も言わず、しばらく抱きしめた。

そしてようやく口を開いた。

「温室にいるお前の姿を見たら、たまらなくなって・・」

アンドレにすれば、まだオスカルといる日常に戻ったことに安堵したのだ。

「では・・昼食にするか」

ポンポンとアンドレの背中を叩くとベンチのほうに向かおうとした。

だが、アンドレは抱きしめた腕を解かずにそのまま柱の影のほうに連れて行ってしまった。

オスカルは再びキョトンとした顔になりアンドレを見上げた。

顔を近づけて唇を重ねてくる。

彼の潤んだ黒い瞳で見つめられると恥ずかしくなって眼をつぶった。

ああ・・・アンドレ・・

口付けの感触にうっとりとする。

心が溶けてしまいそうだ

しかしアンドレの心には複雑な思いもあった。

先ほどのクラスメイト達の言う、このままでいくとオスカルはジャルジェ家の当主。

本当にそれでいいのか?

俺は、オスカルの傍にいられるよう努力するだけでいいのだろうか?

オスカルを俺の手で幸せにする手段があれば、俺は何だってやるのに・・

唇が離れた後、じっとしているアンドレにオスカルは眼を開け、見れば考え込んでいるではないか

何を悩んでいる?もしかして僕のことか・・

少し爪先立ちをして、今度はオスカルがアンドレに口付けを返した。

オスカルの口付けにはっとして眼を見開くアンドレにオスカルは笑顔を見せる

「今、僕は幸せだ・・・だってお前がいるから」

オスカルの言葉はアンドレには救われた気がした。

お前が俺といるのが幸せだといってくれる。

その言葉さえあれば俺は・・・

オスカルをぎゅっと抱きしめ心に誓う

何だって出来る。

そしてもう一度唇を寄せていく

そうだ、オスカル俺はお前のためなら何だって出来る

この愛のためなら人生の全てをかけてもいい

たとえ・恩人であるジャルジェ氏に逆らったとしても!


唇が重なり合うと、アンドレはオスカルの唇をふさいだ。

その瞬間に二人はひとつに溶け合うような感覚に襲われた

ただ・・・今は・・・

今このときだけは現実を忘れ、オスカルお前と愛し合いたい

バラが咲き乱れる、他は誰もいないこの温室の中だけは

いつか二人が結ばれる甘い夢に浸っていたい

きっと・オスカル、俺がお前を幸せにするから

第五章 完

第五章

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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 4

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2019/03/27 (Wed) 14:28

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2019/03/27 (Wed) 14:43
うさぎ

うさぎ

Re: タイトルなし

AN様、またまた中途半端な終わり方で不完全炎症だったと思われますが大丈夫だったでしょうか?

いずれ納得がいくように終わらせたいですが、それはまだ先のことになりそうです(汗)

AN様こそ毎日私を励まそうと忙しい中コメントくださり、お礼の言いようもありません。

またいずれお会いできる日を楽しみにしています。

では、AN様またね♪

2019/03/27 (Wed) 17:36
うさぎ

うさぎ

Re: お疲れ様です

Y様こんにちは。

第五章完結お祝いコメントありがとうございます。

Y様「婚約者」シリーズお気に入りなのですか!

あれは、続きがなくともいいくらいのお話でしたが、書くほどに愛着が出来てついつい書いてしまった作品です。

他の作品も一生懸命読んでくださったみたいで感謝感激です♪

オスカルの選択は原作に一番近いですから、続きがみたいのは当然でしょうね。

思いつけばいいのですが・・

もしまたお話を再開するときは見に来てくださればうれしいです♪

Y様ありがとうございます。

2019/03/27 (Wed) 17:43