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うさぎ

夜のフェアリー154

ジャルジェ氏はいきなりためらうような顔をした。

「しかし・・君は私が思ったよりも優秀な若者だった」

「私としては、君をオスカルのただの側近にするには惜しいと思わざるを得ないのだよ」

「君はもっと重要な役割でこの家を支えてくれる気はないだろうか」

アンドレは意味深なジャルジェ氏の言葉に疑問を持った。

「それは・・・どういうことなのでしょう?」

アンドレの質問を待っていたとばかりに答えが帰ってきた。

「アンドレ、君は、大学を卒業後、ロアンヌ村のバラ農園での仕事をする気はないか?」

「もちろん、労働者としてではなく、経営者としてだ」

ジャルジェ氏の提案にアンドレは驚きを隠せなかった。

俺がロアンヌ村のバラ園の経営を!?

ジャルジェ氏はそんなことを考えていたのか!

驚くアンドレにジャルジェ氏は言葉をかける

「パリで働くのではなく、ロアンヌ村と聞いて不満かな?」

「い・いえ、とんでもない・・いきなりバラ園の経営だなんて、あまりにも意外で・・」

「そうだな、君にすれば突然すぎる話だ」

ジャルジェ氏にはアンドレの疑問は当然と思われた。

「先日のオルレアーノ国との取引が功を奏し、いまやバラ事業はジャルジェ家に大きな利益を生む部門となった」

「しかし、バラを扱うのはわが社だけではない、ライバル会社はいくつも存在する、バラの出来によっては、ライバルに出し抜かれることだってあるだろう」

「わが社としても今の現状に甘んじてはいられないのだよ・・大きくなった農園にはうまく経営管理できる人材が必要になる・・・君なら安心して任せることが出来る」


アンドレとすれば、オスカルの側近になることを夢見ていたのに、ジャルジェ氏の言うバラ園を経営管理する仕事では、パリとロアンヌ村で離れ離れになってしまう

なんとしてもそれは避けたい。

「ジャルジェ様・・・大事なバラ園の経営者にしてくださるとは、ありがたいご好意ですが・・」

「・・・そのような身に余る申し出・・俺にはもったいなく、お受けするわけに行きません」


それでもジャルジェ氏は諭すように言った。

「君が戸惑う気持ちはわかるよ」

「しかし、君は才能豊かでバラ園で働いた経験があり、しかもその体験を生かし見事なバラを咲かす技術もある」

「そして何より、その明晰な頭脳があれば、うまくバラ農園を経営していけるに違いない」

財産も家柄も無く、後ろ盾もいない若者に大事なバラ農園の経営者の座を与えようとするジャルジェ氏

普通であればこんなありがたい話は無い

しかし、アンドレには承知できるわけなど無いのだ。

「俺は、ただの若輩者です、まだまだ人の上に立つ器ではありません、どうかお許しください・・・」

苦しげに返答するアンドレを見てジャルジェ氏は性急すぎたと後悔した。


いきなりバラ園の経営者に、といわれ責任の重さに躊躇したのだろう

彼はまだ若い、時期尚早だったのだ

「わかった、君の意思を尊重しよう、無理強いはしない」

「ロアンヌ村でなくパリで働く道も君にはある」

「私はどんな形であろうと君に将来ジャルジェ家を支える人物になってほしいのだよ」

ジャルジェ氏の理解ある態度にアンドレはほっと胸をなでおろした

「ありがとうございます、ジャルジェ様、俺のようなものに目をかけていただいて」

「いや、それだけ君には期待が大きいということだ」

「だが、一度考えておいてくれ、バラ農園の経営は悪い話では無い、ロアンヌ村では名士となる」


「それからアンドレ」

「はい?」

「君は、イヴリンをどう思う?」

「イヴリン?」何故ここでイヴリンの話になるのだ?

「娘は君の目から、どう写っているんだろう?」

ジャルジェ氏に問いただされ、ともかくアンドレは正直に述べることにした。

「え・ええ、イヴリンはとても可愛らしさに満ち溢れたお嬢様です」

「何より無邪気で愛らしい、人々に愛される才能をお持ちです」

アンドレの返事にジャルジェ氏は満足そうにうなずいた。

「そういってもらえて非常にうれしいよ」

「自分の娘の自慢になるが、私の眼にもあの子は愛らしく性格も素直だ」

「そうですね、俺も同じ思いです」

アンドレが同意すると、ジャルジェ氏は相好を崩した。

そしてイヴリンの話をしたわけを聞かせた。

「実は、君をロアンヌ村の我が家に招待して以来、娘は君をいたくお気に入りでね」

「しかし、先日の殿下をお迎えしたとき、君がデュボア家に招かれたのがショックだったと私に漏らすんだよ」

「そこで、どうだろう!イヴリンがパリに遊びに来たときにでも、また相手してやってはくれないか?」

「え・ええ・もちろんです、俺でよければ」

ロアンヌ村で過ごした時がよほど楽しかったのだろうか?

姉妹としてオスカルの心に寄り添う存在になってくれればいいのだが・・・
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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 2

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2019/07/19 (Fri) 15:58
うさぎ

うさぎ

Re: タイトルなし

KOA様こんにちは~。

刺客というか、周りはお二人の仲を知らないから勝手な思惑を押し付けてきます。

2019/07/19 (Fri) 16:06