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うさぎ

夜のフェアリー162


オスカルは自室のベッドに座り込んでいた。

夕食が終わり、部屋の戻ってシャワーを浴びて、ほっとするが落ち着かない。

それは昼間アンドレが屋敷を訪れると言ったのは本当なのか気になって仕方ないからだ。

あの後アンドレは「学校を早退すれば、夜にお前を寝かしつけに行ってやるよ」と言った。

「でも・・・どうやって?いきなり夜に訪ねてくるわけにいかないだろう?」

「いいから・・考えがあるんだ、だからお前は安心して家でゆっくりしていろ」

あれは、どういう意味なのだ?

オスカルはいても立ってもおられずに、ベッドから立ち上がり、窓辺へと歩いた。

そして外の景色を眺めようとバルコニーへと出て行った。

もうすっかり夜ふけだ

だが空に浮かぶ月のおかげで真っ暗な夜ではない。

今夜は、月が綺麗だな・・・

あれ?

バルコニーの向こうの木が大きく揺れた。

暗闇の中から人影が・・・

オスカルがいるバルコニーへと手を伸ばした

泥棒か!・・・

オスカルは人を呼ぼうと急いで部屋に戻ろうとした。

すると賊は急いで木からバルコニーに乗り移り、後ろからオスカルを羽交い絞めにして口をふさいできた。

オスカルは何とか賊の腕を振り払おうと暴れると耳元で聞きなれた声がした。

「オスカル、とんだ歓迎だな」

アンドレ!

振り向き、顔を見れば賊はアンドレではないか!


「お前どうして?」

「しっ」

オスカルが大きな声で言うので、アンドレは唇に指を当てた。

それを見てオスカルは、いけない、と心の中で思い、アンドレを部屋の中に引き入れることにした。

「と・ともかく部屋の中に・・」

部屋の中に入るなり、アンドレはオスカルの部屋を見渡した。

「何度も訪れたお前の部屋だが、夜に来たのは初めてで新鮮に見えるな」30


オスカルはバルコニーの扉を閉じると急ぎ足でアンドレの前に来た。

「お前、どういうつもりだ、こんな夜更けに忍び込むなんて」

「家のものにばれたら!特にお父様に見つかったらどうするんだ!」

「ご挨拶だな、俺はお前を寝かしつけに来たのに」

「言ったけど・・まさかこんな形で」

「夜中に堂々とジャルジェ家を尋ねるわけに行かないだろう」

「それは、そうだが」

でも、まさか忍び込んで来るとは・・・

「お前が食欲も無く眠れないだなんて、恋人としては心配に決まってるだろう?」

真正面に立ちオスカルを突然に抱きしめる。

「この間のように、俺が知らない間にお前が倒れるようなことがあってほしくない」

お前は僕が先日倒れたことを気に病んで、危険を冒してでも・来てくれたのか!

彼の愛情が染み入り心が晴れやかになっていく。

オスカルも彼の背中に手を回し、喜びをあふれさせた。

「アンドレ・・来てくれて・うれしい・・」

そう言うのが誠意一杯だが、アンドレには十分伝わっていた。

アンドレは抱きしめた腕を解くとここに来た目的に移った。

「では、早速お前はベッドに入れ」

「ええ?!」

「当然だろう、俺はお前を寝かせに来たんだ、早く横になれ」

「え・だってお前・今来たところなのに」

オスカルとすれば、せっかくアンドレが来たのだからゆっくりと二人で夜を過ごせると踏んだのに

来ていきなりベッドに寝ろだなんて、こっちとしては気持ちが付いていかない

不満そうな反応でアンドレはオスカルの考えていることがわかった。

「心配するな、お前がベッドに横になったら、眠るまで俺は側についててやる」

「気晴らしに話でもしてれば、すぐに眠くなるさ」

「苦労してここまで来たんだ、言うことを聞いてくれ」

確かに僕が夜眠れないといったから彼はわざわざ危険を冒してまでここに来てくれた。

彼の危険を考えれば、ベッドに横になるくらいは・当たり前か・・

説得されてオスカルはしぶしぶベッドの上に横になる。

アンドレはベッドサイドの椅子に座り、寝た姿勢のオスカルを眺めた。

オスカルは、自分だけ寝ているのは恥ずかしくて眼を背けてしまう。

そんなそぶりをアンドレは気にせずオスカルに話しかける。

「約束どおり、おとなしく待ってたみたいだな、しっかり食事も取ったか?」

温室での約束を確認するアンドレにオスカルは不満顔だ。

「何とかおなかに詰め込んだ、おかげで胃がパンクしそうだぞ」

オスカルの返事にアンドレは笑ってしまう。

「どうやら、約束は守ったようだな、安心したよ」

「後はゆっくり眠れば体調も良くなる」

「僕はお前の子供か?」

子ども扱いされたようでオスカルには不満だ。

「それは心外だな、俺にとってお前はわが子以上の存在だ」

アンドレはオスカルの手を取り、軽く握った。

「誰より心を許しあえる大事な友達で、しかもほっておけない子供みたいな恋人、何よりこの世に一人だけの、俺の愛する人だ」

「そんなお前が身体を悪くしたらと心配でおちおち勉強も手に付かない」

「お前のためなら俺は泥棒の真似事だって何だってやるさ」


彼の愛情に胸が詰まった。


アンドレお前はいつも恋愛の駆け引きなしに真っ直ぐに愛情をしめしてくれる。

今だって、僕のためにこんな危険を冒してまで屋敷にたずねてくれた。

だけど・・わかっているのか?

そうやってあふれんばかりの愛を届けてくれるたびに、僕はお前への想いを強くしていく

お前を誰にも渡したくなくて、僕だけのものにしたい想いが募っていくのを・お前はわかっているのか!

「オスカル・・どうした?」

瞳が潤んでいるのをアンドレは心配した。

「い・いや・なんでもない」

急いで眼をこすり涙を拭いた。

「それより」

オスカルはアンドレの許にある自分の手でアンドレの腕を握った。

「一人では眠れない」

「ここに来て、一緒に眠ってくれないか」
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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 2

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2019/07/27 (Sat) 00:59
うさぎ

うさぎ

Re: タイトルなし

MA様こんにちは~♪

今回のアンドレのせりふ気に入ってくださって感激です!

実際アンドレにとってオスカル様は、このような存在だと思うのです。

おかしなコメントなんてナイナイ!(笑)

いつも励ましてくれてありがたく思ってますよ、楽しんでくだされば幸いです。

2019/07/27 (Sat) 13:05