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うさぎ

夜のフェアリー169

アンドレは会場の中で一人でいるイヴリンを見かけた。

「イヴリン」

「あ・・アンドレ!」

イヴリンはアンドレを見てほっと安堵した。

「お久しぶりね、元気だった?」

「ああ、元気だよ、イヴリンも変わりは無かったかい?」

「ええ、もちろんよ、今いらしたの?おじいさまのお話はもう終わってしまったわよ」

「そうらしいな、ジャルジェ様に招待されたというのに大失態だ」

「ところでジャルジェ様は何処に?」

アンドレは自分を呼んでくれた当の本人のジャルジェ氏に遅れてきたお詫びをかねて挨拶をしようとした。。

「お父様はあちらでお客様とお話中よ、さっきおじいさまから当主の座を譲り受けたから、周りがほっとかないの」

「ジャルジェ様がいよいよ当主になられたのか・・・」

イヴリンが言うようにレニエは多くの取り巻きに囲まれていた。

ようやく手に入れた当主の座と回りにもてはやされ気分がよさそうだ。

「お父様、アンドレがいらしたわ」

イヴリンに呼ばれ、レニエはアンドレが来たことに気づいた。

「やあ、アンドレ来たか」

レニエはこちらに来るよう指示し、アンドレはレニエの側に急いだ。

「ジャルジェ様、遅れてしまい申し訳ありません」

「優等生の君が時間に遅れるとは珍しいじゃないか」

アンドレは深々と頭を下げてレニエに向かって詫びた。

「実は・友達が急病で病院まで付き添い、その足でここまで駆けつけてきた次第です」

「ジャルジェ様の大事な発表の場に間に合わず残念に思います、本当に失礼しました」

レニエはアンドレの遅れた理由を聞き、納得をする。

「いや、そういうことなら仕方ない、友達のために遅れるとは友情に熱い君らしい理由だ、私にとってめでたい日だ、ささいなことは気にしないでおこう」

「君も今日の宴を楽しんでくれたまえ」

「ありがとうございます、ジャルジェ様」

レニエの機嫌を損ねずに済み、ほっとするが いきなり現れた若者に客達の注目が集まった

「ジャルジェ殿、こちらの方は?」

「ああ、彼は私が援助している青年のアンドレだ」

「援助とはどういうことだね?」

「彼はオーランドの学生でね、私が彼の学費を援助している」

レニエはアンドレに対する援助の内容を皆に語って聞かせた。

「ロアンヌ村の牧師と教師が、私に優秀な青年がいて、彼の学費援助してほしいとたずねてきてね」

「あってみたところ、このように好青年で一目で気に入り支援することに決めたのだ」

「ほう、君がその気になったからには、よほど優秀な若者だったのだろうね」

皆はアンドレを吟味するように見つめた。

レニエは笑みを浮かべてから皆に語って聞かせた。

「当然だよ、優秀さゆえに牧師と教師が彼を上の学校に行かせるよう私に頼んできたのだから」

「アンドレは、オーランド校に入学して以来、試験では常に1位を守り続けている、つまりオーランド1の秀才だ」

それを聞いて皆驚いてアンドレのほうを注目した。

「オーランドで一位を取り続けている!それはすごい!」

質問した紳士は感嘆の声を上げた。

それをきっかけに皆も同じようにざわめいた・

「実は私もオーランドが母校なんだが、あそこで一位をキープするなど不可能に近い」

「オーランドでは上位に食い込むのでさえ、難しいといわれるのに」

「さすがはジャルジェ様だわ、お眼が高いこと」

オーランドの授業の質の高さは有名だ、そこで1位を取り続けていると聞けば好奇心旺盛な上流社会の人間の注目は嫌でも集まる。

皆レニエを褒め称えた後、それぞれがアンドレに挨拶してきた。

「やあ、アンドレというのかね、私はメルローというものだ」

「よろしくモランです、レニエの叔母ですの、オーランド1の秀才なら将来は嘱望されますわね。」

「マイヨールだ、レニエとは従兄弟でね」

「デュカスです、ジャルジェ家とは長い付き合いでね」

「皆さん、ご丁寧な挨拶痛み入ります、アンドレですよろしくお願いします」

アンドレは突然もちあげるような態度になった周囲の態度に躊躇しながらも、一人ひとりと握手を交わし挨拶をしていった。

レニエは自分が見出した若者の優秀さを世間が認めたのに満足げだ。

「アンドレ、パーティーが終わった後も残ってくれないか?」

「君に話があるのだよ」

「はい、承知しました」

もしかして話とはこの間のこと・・・?

アンドレは緊張した。


「それから私はまだ彼らと話がある、イヴリンの相手をしてやってくれないか」

「わかりました、俺でよければ」

「イヴリン・いいかな?」

「ええ、もちろんよ」

それでは、といってレニエは取り巻きを連れて向こうへ行ってしまった。

「アンドレってすごいのね、ずっと一位をキープしているなんて、頭がいいとは聞いていたけどまさかそれほどまでとは」

イヴリンは側で見ていて感心してしまったのだ、アンドレがオーランドの秀才とは聞いていたが、上流社会の人間があのように興奮して誉めそやすなど、よほどのことだ。

アンドレにしてみれば面映い、最初は確かに金持ち連中に負けないように勉強を頑張っていた。

けど今はオスカルのためだ。

少しでもオスカルの側に近づきたいがため・・・

「とんでもないよ、これでもかなりのガリ勉なんだ、いつ一位から追い落とされるかわからないからハラハラしてるよ」

「まあ!そうなの?」

「そうだよ、だから試験の時は心臓が止まる思いさ」

アンドレの大げさな言い方にイヴリンは笑った。

「それより・オスカルは?」

アンドレは先ほどから会場の中にオスカルの姿が見あたらないのが気になって仕方ない

「オスカルは、発表の後、おじいさまに付き添ってお部屋まで行かれたわ、あの様子ではしばらく戻ってこないんじゃないかしら?」

おじいさんに付き添って・・・それではまだ来ないかも・・・

「お母様もご気分を悪くしてお部屋に戻られて、お父様はあのとおりだし、私一人ぼっちで不安で・・そんな中貴方が来てくれて・安心したわ」

ロアンヌ村ではイヴリンは大勢の友達に囲まれていた、だがパリでは知人は誰もいないのだ。

「そうか、では俺でよければお相手願うかな?」

「ええ、良くてよ」

アンドレがおどけるようにいうのでイヴリンは笑って答えた。
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