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うさぎ

夜のフェアリー173

「それは、本当かね!」

「はい・俺などでよければ、ジャルジェ様のお役に立つよう勤めさせていただきたいです」

アンドレの快諾にジャルジェ氏は喜びを表した。

「もちろんだよ、君が承知してくれればこんな心強いことは無い」

「では・・ジャルジェ様、俺はオーランドを卒業後大学への進学はしないとウィルソン先生に伝えておきます」

「来年のオーランドを卒業後はすぐにロアンヌ村に戻ります」

オーランド卒業後、バラ農園で働くのなら、大学への進学は無いものとアンドレは覚悟した。

しかし、それを聞いたジャルジェ氏は急いで声をかけた。

「待ってくれ、・大学への進学をしないだって?」

「そうです、バラ農園で働くのなら大学に行ってなどいられません。」

それを聞きジャルジェ氏はアンドレが誤解しているのを知った。

「アンドレ・私は君をバラ農園経営者にするのは大学を卒業した後でと考えているんだ」

アンドレはまさか!と思った。

農園を運営するなら現場を主とするのが当然、大学になど行く暇は無いものと考えるのが妥当だ

「ですが、大学などに行くなどと悠長なことをしていては・・・」

「君が大学進学をあきらめてでも、私の役に立とうとする気持ちはうれしい、だが、私は君をジャルジェ家の実権を握るためだけの駒にしておく気は無いのだ」

「私は君を単なる農園経営者の地位で終わらす気は無い、実績を上げた上で更なる重要なポストを与えるつもりだ」

「私が君に求めるのは将来ジャルジェ家を影で支える人物になってくれることだ、そのため、大学へ行き、もっと多くのことを学んでほしい」

初めて聞いたジャルジェ氏の真意にアンドレは驚愕した。

ジャルジェ様は、俺にそのような期待をしてくださったとは!

母の入院費を支払い、オーランドの学費援助し、そして将来までも与えようと・・・

アンドレはこれほど自分を見込んでくれるレニエに感謝の気持ちしかない

それに農園経営者以上のポストをいずれ与えられるのなら、さらにまた一歩オスカルに近づくことが出来る!

深く頭を下げると心からの礼を言った。

「ありがとうございます!ジャルジェ様、身寄りの無い俺のようなものをそれほどまでに・・・」
「いつか、必ずご恩返しが出来るよう、努力していきます」

「期待しているよ、これはそのための投資なのだから」
「それからアンドレ」

「はい?」

「将来バラ農園を経営するには今からいろいろと知っておいてほしい」
「そのため君にはこれから、定期的にロアンヌ村に足を運んでもらいたい」

「もうすぐ学校の休暇が始まるのだろう?それを利用してバラ農園の経営を学んできてほしい」

「はい、それでは、休暇に入り次第、ロアンヌ村に戻ることにします」


その頃オスカルは、自分の部屋に戻らずに祖父のところにいた。

先ほどはアンドレのことが気になってはいたが、祖父の容態を気遣い部屋を訪れたのだ。

祖父の部屋の戸を開くとベッドの側でグレゴリー医師が座っていた。

「先生」

「ああ・オスカル」

「どうしたんだい?パーティーは?」

「パーティーは終わりました、おじいさまの容態は?」

ベッドに横になった祖父の顔を見れば、どうやら眠り込んでいるようだ

疲れきった表情で眠っている祖父はあまりにも無防備で心配になった。

祖父は心なしか以前より小さくなった気がする


あのような短い時間の移動だけでもおじい様の身体にはきついのか・・・

「グレゴリー先生!おじいさまの体調は、お悪いんでしょうか?」

「オスカル、興奮しないで」

興奮するように質問してくるオスカルをいさめ、グレゴリーはジャルジェ卿が寝入っているのを確かめ、口を開いた。

「ジャルジェ卿は、だいぶん心臓が弱っていてね、もう長いこと起き上がるのは無理なんだ」
「今日の会見でも、私は止めたんだが、ジャルジェ卿は当主としての最後の役目だと言い張り、無理を押して出たんだよ」

しらなかった・・おじいさまがそれほど弱られているなんて・・・

「これまで寝込んでいても当主として会社のことを取り仕切ってきたからね」
「弱った身体に経営者としての心労で、体調を整えることが出来なかった」

「こんな暮らしを続けていたら命の保障は出来ませんと私が言い続けてやっと当主を降りる決意を固めてくれた」
「これからは当主としての責任から開放されたんだ、静かに静養すれば良くなる可能性も高い」

おじいさまのために何か僕に出来ることは・・・

「ジャルジェ卿はこれからは、心穏やかに暮らすことをお勧めするよ、オスカル、君が出来るだけ側についていてくれればありがたいのだけど」

「君はジャルジェ卿が心を許す唯一の孫だからね」

グレゴリーから懇願されて、オスカルは決意した。

「わかりました・グレゴリー先生、僕でお役にたつのならこんなにうれしいことはありません」
「これからは出来るだけおじいさまのお相手するよう勤めます」

「そうか、そうしてくれると助かるよ」

オスカルはしばらくグレゴリーの説明を聞いていると、父が部屋に入ってきた。

突然の父の来訪、アンドレとの話は終えたのだろうか

「父上の様子はどうだ?」

父もさすがに祖父のことが気になっていたと見える。

「大丈夫です、役目を終えられたことにほっとして気が抜けたのでしょう」

グレゴリーはレニエに、ジャルジェ卿は長年ジャルジェ家を支え続けた、それが身体を悪くした原因なのだから、今後は静かに心穏やかに暮らせば、改善するでしょうと伝えた。

オスカルはグレゴリーにいったことをもう一度父に聞かせた。

「お父様、僕はしばらくおじいさまに付き添うつもりです」
「側にいておじいさまが心安らかに過ごせるよう見守りたいと思っています」

オスカルの言葉に父は安堵した顔を見せた。

「お前の気持ちはありがたく思う、お前の付き添いなら父上も喜ぶだろう、私からも頼む」

「はい、承知しました」

「お父様、あの、アンドレとの話は終わられたのですか?」

「ああ、先ほどな、もう遅いので彼はそのまま帰ったが」

お父様の手前、そのまま帰ったのか・・・

では、詳しい話は明日だな

しかし、それでも気になる。

オスカルの気持ちを察したかのように父が話を切り出した。

「オスカル、アンドレは大学を卒業後、ロアンヌ村のジャルジェ家所有のバラ園の経営を任せることになった」

「は?」

「バラ園はジャルジェ家にとって現在利益を生む部門だ、私は以前から将来彼に任せてみては、と考えていた」

アンドレが・ジャルジェバラ農園の、経営者?

いきなりの展開にオスカルは気持ちがついていかない、アンドレからは何も聞いていないのだから。

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