FC2ブログ
うさぎ

夜のフェアリー191

思いもしなかったオスカルの自分への暴挙

必死になって首を締め付ける手を両手で押さえた。

まさか、オスカルがこんなことをするなんて信じられないが、締め付ける強さで本気なのだとわかる。

あまりの出来事に激しい恐怖を覚えたイヴリンはいきなり声を上げた。

「オスカル!やめて」

「やめて!誰か助けて!誰か!」

屋敷じゅうに聞こえるばかりの声を上げ助けを求めた。

その声は目の前のオスカルの意識にも届き、はっとしてオスカルは両手の力を抜いた。

僕は・今何を?

イヴリンの声は父の部屋まで届いていた。

「何だ!今の叫び声は?」

「イヴリンの声のようでしたが?」

アンドレはジャルジェ氏とともに部屋を飛び出して、イヴリンの部屋まで急いで走っていった。

「何があった!?」

二人が見たのは壁に背中をつけたイヴリンの前に立ちふさがるオスカルの姿

父の声にオスカルは振り向き、その隙にイヴリンは抜け出し父の許に駆け出していった。

そして父に抱きつき泣きながらもらした。

「オスカルが・・私を!」

「オスカルが何をしたというのだ?」

父はイヴリンを受けいれてから問い詰める。

「オスカルが・・突然私の前に立ちふさがったとたん・・首を絞めてきたわ」

オスカルがイヴリンの首を・・?

「オスカル、お前何ということを・・」

「自分が何をしたのか・・わかっているのか!?」

オスカルは呆然としていたが、父から怒りを投げかけられ、気が付いた

そして冷静になっていく自分がいた。

「ご・ごめんよ・僕は・・」

「来ないで!」

謝まろうと近づいてきたオスカルをイヴリンはおびえ拒否した。

オスカルは自分のした行いによっていかに妹を傷つけたかを知った。

僕は・なんてことを・・イヴリンを手にかけようとするとは

アンドレは、オスカルの表情が苦悩に満ちていくのがわかった。

「オスカル・一体どうした、何があったんだ?」

アンドレの問いかけにも、オスカルは首を振るばかりだ。

イヴリンはまだ泣いて取り乱している。

「私・オスカルにアンドレのことを言ったの、お父様が私とアンドレを婚約させようとしているって・・」

「そしたら、オスカルが・私を!」

イヴリンの話を聞いてアンドレは悟った。

何ということだ!

オスカルは俺とイヴリンの婚約の話を知らされてしまい、ショックの余り彼女を襲ったのだ。

普段から両親の愛情を当たり前に受けている妹をうらやましい思いでいたのに、その上両親の決めた婚約者が俺とは、オスカルにとってあまりに残酷な事実だ!
だからお前は・・・

ドアをノックする音が聞こえた。

「旦那様、あの・よろしいでしょうか?」

ばあやの声だ。

ジャルジェ氏はドアを開けた。

ばあやの他に執事のサイラスや他のものもいる。

どうやらイヴリンの声で屋敷の者達が心配して集まっていたらしい
しかしジャルジェ氏の怒鳴り声やらもめている様子に部屋の外でおろおろするばかりだったのだ。

「丁度いい、イヴリンを別の部屋で休ませるように」


ばあやが見るとイヴリンは興奮気味に泣いている。

「わかりました、ではイヴリン様参りましょう」

ばあやがイヴリンを連れて部屋の外に行く

ジャルジェ氏は他のものには家族間の問題だから皆は遠慮して欲しいと伝えた。

そしてアンドレにも同じよう伝えた。

「君も遠慮してくれたまえ」

「先ほどの話の続きはまた後にしよう」

オスカルを置いてこの場を去れと?!

しかし、この場合ジャルジェ氏に逆らえるわけが無い

父の先ほどの話と聞いてオスカルは再び強いショックを受けた。

そうだ、父はアンドレにイヴリンとの婚約を進めたのだった。

アンドレは断っていない・のか?

アンドレはジャルジェ氏に命じられたとおり、部屋を出て行くべくドアノブを手にする。
後ろ髪惹かれる思いでオスカルのほうを見れば、彼女は悲痛な面持ちで立ち竦んでいた。

その瞬間動きが止まる。

ジャルジェ氏は改めてオスカルを問い詰めはじめた。

「オスカル、お前何故あのようなことをした?」

オスカルはそれに答えることが出来ない。

「それは・・・」

「答えなさい!オスカル」

言えない

イヴリンとアンドレとの婚約を嫉妬した結果だなど、言えるわけが無い

言えば、僕たちは引き離されてしまうんだ!


「理由もなく妹を傷つけるまねなど私は許さんぞ!」

攻められているオスカルにアンドレはさらに胸が痛んだ。

自分達が愛し合っていることを秘密にするために彼女は一人耐えている。

このままにしていいのか?

オスカルを、愛している人を守ってやることも、俺には出来ないのか?

だが、今お前の許に行けば、ジャルジェ様に俺達の関係を知られてしまう!


オスカルは覚悟していた

僕達が愛し合っていることは、まだ誰にも知られてはいけない秘密

どんな罰を与えられようとののしられようともアンドレと僕の関係を言ってはいけないんだ!

オスカルは口を閉じたまま眼を伏せた。

しかし、胸に不安が押し寄せる

アンドレは父に逆らえない

逆らえば大学進学どころかオーランドにいることも叶わなくなる。

アンドレにとって僕との関係は父への大きな裏切り!・・・

しかもアンドレは父に恩を感じている

彼は・父の申しでを断れるのだろうか?・・

全てを犠牲にして・・


しかし、ふわりと何かに包まれた感触があった。

これは・・

気づくと、アンドレの胸の中にいた。

彼はオスカルを両手で包み込むように抱きしめていた。

「アンドレ・・・」

オスカルは戸惑いながら彼を見上げた。


こんなにも傷つき追い詰められているお前を俺は見捨てることなど出来ない

たとえどんな結果になったとしても・・・


父は、呆然と二人の姿を見ている。

いけない こんなところを見られては・・・

その思いでアンドレを遠ざけようとするが、彼はより、しっかりと抱きしめてきた。

アンドレは、はっきりと口にした。

「もういいんだ、オスカルもう隠さなくてもいい」

「俺は何処へも行かないから」

「安心しろ、お前の側にいるから・俺はお前のものだ」

それはずっと求めていた言葉

彼の優しい言葉が心に響き、涙がツーと流れた。


僕のアンドレ、僕の愛

手を伸ばして抱きしめ返した。

うれしさに涙がとめどなく流れ落ちていく


父の愛もいらない、母の愛さえも・・

欲したのはたったひとつの愛

アンドレ・お前の愛だけ
スポンサーサイト



うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 6

There are no comments yet.

Pan

ううー。
多分こっから試練かなと思っていたらアンドレ!言い返すより何より抱き締めるのを先にしてくれてキュンでした。素敵なお話ありがとうございます。いつも楽しく読んでいます(^_^)

2019/09/24 (Tue) 19:59

mai

すごく久しぶりに感想を投稿しますが、いつも楽しみに拝読させて頂いております(*^^*)情景が目に浮かぶ素敵なお話、毎日楽しませて頂いておりますが 想像力を働かせて書く方は大変だろうなと 文才の素晴らしさと努力に もう感心しきり❗です。。
今日は究極の愛の姿を見せて頂きましたが、これからの二人が心配です(・・;)
いつもありがとうございます🎵

2019/09/24 (Tue) 20:55

ひろぴー

ありがとうございます

キュンキュンしました♡

オスカル様 の幸せが伝わりました。

うさぎ様
ありがとうございます

2019/09/25 (Wed) 13:46
うさぎ

うさぎ

Re: タイトルなし

P様

ここから試練が始まると覚悟していたのですね。

言葉より態度で愛情を示したアンドレ、うっとり♪ですが、試練は今からなのです(汗)

今回も楽しんでくださいねP様♪

2019/09/25 (Wed) 19:08
うさぎ

うさぎ

Re: タイトルなし

ma様、お久しぶりです♪

今でも見てくれていたとは感激です!

あまりに大胆な構想にひいいてしまわれないかと心配でしたが、高評価をいただいて喜びまくっています♪

しかし、そうなんです、とうとう父上にばれて、ここからがお二人の試練の時間なのです(汗)

アンドレはジャルジェ氏に何と申し開きをするのでしょう!

この後は何度も書き直して苦労いたしました。

ma様のいう究極の愛の言葉になりますように。



2019/09/25 (Wed) 19:15
うさぎ

うさぎ

Re: ありがとうございます

HI様、キュンキュンしていただけてうれしいです♪

地獄から天国のオスカル様でした♪

しかし、父上にばれてしまったのだから、ただではすまないのです。

でも出来るだけキュンキュンできるようなアンドレだと思いますよ♪

2019/09/25 (Wed) 19:17