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うさぎ

夜のフェアリー192

これは・・一体どういうことだ・まさか?

「アンドレ・これはどういうことだ?」


アンドレは抱きしめていた腕を解き、ジャルジェ氏のほうに身体を向けた。

「ジャルジェ様が見たとおりです」


見たまま、それでは・しかし・・

ジャルジェ氏の心中は複雑だ。


「ジャルジェ様、貴方にお話しがあります」

「何もかもお話しますのでお時間をいただけませんか?」

もう隠してはおけない。

アンドレは全てを打ち明ける決意だ。


「では二人きりで話そう、私の部屋で聞く」

ともかく確かめなければ!

アンドレの今の行動の意味を知る、それが先決だ

ジャルジェ氏も全てを聞く所存だ

「わかりました」

「オスカルは自室で待機しているように」


緊迫した状態にオスカルは不安に駆られた。

知られてしまった、僕達の関係を

お父様はアンドレをどうするおつもりなのだ?


不安な面持ちでアンドレを見るが、彼は無理に笑顔を見せる

「心配するな、また後で・・」

ぐっと手を握って告げる。

「わかった、後でな」

その手が離れたとたん心が騒いだ。

オスカルは部屋を出て行く彼の後姿をじっと見送った。


ジャルジェ氏の部屋に再び戻り、もう一度テーブルの前の椅子に腰掛け対峙した。

ジャルジェ氏はいまだ混乱していた。

そんな中アンドレから話を切り出した。

「ジャルジェ様、先ほどのイヴリンとの婚約のお話ですが、大変ありがたく思いますが・俺にはお受けすることは、出来ません」

「俺のような貧しい出のものを、一族に加えようというジャルジェ様のもったいないほどの好意を無駄にすること深くお詫びします」

アンドレは深々と頭を下げる。

しかし、ジャルジェ氏の頭の中は先ほどの光景で一杯だった。

「イヴリンとの婚約を断る理由は、オスカルと君との関係にあると考えてもいいのだろうか?」

それまで冷静を装っていたアンドレの眉がピクリと動き、緊張のため汗が流れ落ちた。

これまで努力を積み重ね、得たジャルジェ氏からの信頼を、全て失うことになる

だが、ここでひるむわけに行かないのだ

アンドレは心に決めた。

「そうです」

「俺は、ジャルジェ家令嬢であるオスカルを、愛しています」


令嬢・・!

やはりアンドレはオスカルが女だと・知っていたのだ!・・・

しかも・オスカルを愛していると・・・

先ほどの様子では、オスカルも彼のことを・・

アンドレの告白にジャルジェ氏は激しいショックを受けた。

やがてジャルジェ氏はわなわなと怒りに震えた。

あれほど眼をかけたアンドレに裏切られたのだから

アンドレに対して声を荒げた。

「君は何ということを!自分がしたことをわかっているのか!」

「私がこれまでどれだけ君に眼をかけてきてやったか!それを忘れ・恩をあだで返すのか!」

「私は君が誠実な若者と見込んでいたのだ、万が一オスカルを女だと知ったとしても、君ならすぐに私に報告するだろうと考えていた」

「だからこそ君をオスカルの友に選んだのだ!」

「それなのに、オスカルの性を知り黙認するばかりではなく、愛した、などと君は!どこまで私を愚弄したら気が済むのだ」

「許しがたい事実だ 恥を知りたまえ!」

「よくも恩人である私にこのような仕打ちを!君は私の信頼を裏切ったのだ!」

ジャルジェ氏は怒りの余りアンドレに次々と強い言葉を投げかけた。

それをアンドレは黙って受け入れていた。

「ジャルジェ様には恩知らずといわれても仕方ありません、俺はそれだけの罪を犯しました」


「君は、私から支援を受ける身でありながら、オスカルに恋するなど罪深いとは思わなかったのか!」

ジャルジェ氏の質問にアンドレは真摯に答えようとした。

「俺の行いは、許されないものと考えています、恩人であるジャルジェ様の令嬢であるオスカルにこんな想いを持つなど・・」

「しかしオスカルの美しさに惹かれ、ともに過ごすうちに彼女の清らかな心を知り、そして心の奥底にある寂しさや悲しみを見つけたとき・・愛さずにはおれませんでした」

「最初これは友情であって愛などではないと自分に言い聞かせてきました、しかし、オスカルへの気持ちが深まるたびにこの気持ちにうそが付けなくなってきたのです」


「それで君は自分の気持ちをオスカルに伝えたのか?」

ジャルジェ氏は冷めた口調で伝えた。

それに対してもアンドレは冷静に答える。

「オスカルへの想いを伝える気はありませんでした、俺にとってオスカルはまぶしいばかりの存在で愛していると告げるなど恐れ多いことだ・第一そのときオスカルを男子だと思っていた」

「なん・・だと?」

オスカルに想いを持ったのは男だと考えていた時だと知りジャルジェ氏は驚く

「・・俺はオスカルが男だと思いながらも愛しました」

ジャルジェ氏は信じられぬという顔で見るがアンドレは平然と言いのけた

「俺が愛したのはオスカル自身です、男であろうと、女であろうと、オスカルであればどんな姿でも愛したのです」

アンドレのあまりに実直な言い分にジャルジェ氏はやや気後れした。

「では、君は気持ちを伝える気がなかったというのに、何故オスカルの気を引いたのだ?」

「それが・・オスカルに別の女性と付き合うよう進められ、それに耐えきれず、つい気持ちを伝えてしまいました」

「オスカルは同性だと思った上での俺の告白に、驚いたにもかかわらず、恋人になろうと言ってくれたんです、多分断ればジャルジェ様に支援を受けている俺はオーランドを出て行ってしまうだろうと懸念したからです」

「オスカルからすれば、同情からかもしれません、それでも俺にはうれしかった、たとえ一時でもオスカルを恋人に出来るのだから」

「そして恋人の真似事をしていくうちに、オスカルも俺を愛していると気づいてくれて」

「報われないと思っていた想いが実り、俺は幸せを感じました、けど人というのは強欲な生き物だ、俺は新たな苦しみにさいなまれ始めた、この恋はいつか終わりが来る、オスカルが男である限り、結ばれることは無いと」


「オスカルは俺が苦しんでいることに気が付いたとき、初めて性の秘密を明かしてくれました」

「俺の悩みを取り除こうと必死の思いで女性だと告白してくれたのです」


「俺は、その時感動して心に喜びを溢れさせ、オスカルが女であることを感謝しました、オスカルを愛することを神に許された気がしたのです」

「その時からジャルジェ様、貴方に二人の仲を許してもらえるよう俺は努力していくことを決意したのです」

「そのためオーランドで一位を取り続けるよう勉強に励み、そして貴方からバラ農園を経営するよう要請されれば、出来る限りの尽力を尽くしました」

「全てはオスカルの近くにいられるよう、そしていずれは貴方に認めていただくため、そのためなら何でもしようと俺は決めました」

「いつか・どんなに時間がかかったとしても、最後にはオスカルと結ばれたい!」

「それがどんなに身の程知らずな望みでも、どうしても俺は、その夢を叶えたかった」


アンドレは心から想いを打ち明けた、もう彼にはジャルジェ氏に訴える術しか残されていないのだから

ジャルジェ氏は無表情でじっと考えるように聞いていた。

しかしアンドレが言い終わると口を開いた。


「君のいいたいことはわかった」
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