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うさぎ

夜のフェアリー196

ここを?

「アンドレ、それって?」

「ジャルジェ家を出て、俺と一緒にどこかで暮らすんだ」

お前と・一緒に・・

オスカルは信じられない思いで聞いていた。


アンドレは辛そうな顔をした。

「ジャルジェ様の怒りを買い将来の夢もついえた」

「俺がジャルジェ様に認められてお前との仲を許される日を夢見ていたが、それは甘い妄想だった」

ジャルジェ様にとって金も権力も無い俺は、お前には不釣合いな相手だったんだ」

オスカルは彼の辛い気持ちを考えると胸が痛んだ

今までの努力が水泡と帰したのだから

しかし、だからこそアンドレにはこれしか道は無いものと決意した。

「このままでは俺達は引き離されてしまう、ジャルジェ様や誰にも見つからない場所で一緒に暮らそう!

家も家族も全て捨てて、お前と二人で生きていく!

それはあまりにも突然で大きすぎる犠牲を強いる行為だ

いきなりなアンドレの誘いにオスカルは戸惑い 考え込んでしまった


今、僕が彼と逃げればどうなる?

これまでのアンドレの努力が無駄になってしまう

だけど・ここで拒否すれば僕は、アンドレと別れ別れになる

そんなの・嫌だ!

一体どうすれば・・・


その様子にアンドレは不安を覚えた。

「どうした、オスカル、何故・答えてくれない?」


オスカルは悩んだ末の答えを口にする。

「アンドレ・お前は父の援助を受け大学へ進学し、卒業して将来の道を探すほうがいい」


信じられないオスカルの提案にアンドレは唖然とした

「お前・・おれと別れるというのか?」


アンドレの誤解に急ぎ言い返す。

「違う、そうではない!父が僕を女性に戻すのはまだ先の話だ、お前も言ってただろう?その間に僕が何とか説得していく」

だがアンドレには、そう上手く、ことが運ぶとは思えない

首を振り拒否するのみだ。

「無駄だ、どんなに願おうとも俺とお前との仲をジャルジェ様は決して許すことは無い」

「それに、俺とのことを知ったことで、ジャルジェ様はお前を女に戻すのを早めるだろう」

オスカルはその言葉にギクリとした。

おそらくアンドレの予感は当たっている。

アンドレと僕が深い仲だと知った父は、彼をあきらめさせるためにも、一刻も早く女に戻す必要があると考えるはずだ、あの父なら・・

どうすれば・・いいんだ・・


「一体どうしたというんだ、何を悩んでいる?」

何かおかしいオスカルにアンドレは疑問を覚える

するとオスカルは重い口を開いた。

「だって・・」

「ここを出て僕と暮らし始めたら、お前は・きっと苦労する こんな世間知らずで、男みたいな僕と一緒だなんて」

「僕がお前の重荷になるんだ」

「俺はお前を重荷になど思わない、お前と暮らせるだけで満足だ」

アンドレがきっぱりと拒否してくれても、それでもオスカルの心は晴れない

「・・いつかお前は僕との暮らしに疲れてしまい、一緒に逃げたことを後悔するかもしれない」

「そのうちに僕のことなどいやになっていくかも・」


「お前は・俺の心を疑うのか?」

まさかオスカルからそのような言葉を聴かされるとは・・


「俺は今までお前と結ばれるため、出来る限りの努力をしてきた、それなのにたかが、生活苦のために俺の心が変わるとお前は言うのか!?」

「俺の気持ちはお前が一番良くわかっているはずだ!それを!」

オスカルへの心を疑われるなど、あまりにも心外な話に怒りさえこみ上げてくる。


「お前の愛情を疑うわけが無い、お前は真実の愛を常に僕に示してくれた」

「そんなお前だからこそ、僕はお前を愛した」

アンドレの怒りは当然だ、あれほどの愛情を示してくれた彼の心変わりを疑うなど、われながら非道だと思う

それでもオスカルにはどうしても不安がぬぐいきれない


悲しそうな顔をし、もらした


「でも・・僕は・時間が人を変えていくのを知ってしまった!」

「心から愛し合って結ばれたはずの二人であろうと苦難によってその心は冷めるということも」


「アンドレ・・父は」


オスカルはやりきれない思いで告白した。


「父は母を妻にしたのを後悔していたんだ」


「!!」

オスカルはジャルジェ様がフローラ様との結婚を後悔しているのを知ってしまったのか!


「周りの反対を押し切って、僕を男として育てたのは、母を妻に迎えるためだったのに・・」

「僕は今まで父の母への変わらぬ愛情を信じて疑わなかった」

「だが、それは僕の思い違いだったのだ、歳月が父の心を変えてしまった」

傷ついた心を隠すように眼を伏せた。

「人の心は変わる」

「今のお前の心を疑うわけじゃない、だけど・・僕との暮らしに疲れて、お前の心が冷めていく」

「そんなことになったら・・僕は、生きてけない、生きていけないよ!」

取り乱し叫んだ。

見上げた顔からはぼろぼろと涙が零れ落ちた


屋敷を出ればオスカルはただの無力な人間だ 屋敷の中の暮らししかしらない温室育ち


いつかアンドレも・・

情熱に任せて僕と飛び出していったことをきっと後悔する
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うさぎ
Posted byうさぎ

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