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夜のフェアリー7章の4

翌朝、オスカルはドアのノックする音で眼が覚めた。
部屋の景色がいつもと違っているのに気がついた。
あれ、ここは?
ガバッと起き上がり、周りの景色を眺めた。
ドアの入り口でアンドレがホテルのフロントマンから朝食を受け取っているところが見えた

そうだった!
僕はアンドレとジャルジェ家を出て行き、夕べ「エレイン」について一緒にホテルに泊まったんだ。
アンドレはドアを閉めてオスカルが起き上がったのを見定めると
「おはよう、朝食が来たところだ」
「ああ・おはよう」

アンドレは朝食を載せたワゴンをベッドサイドにつけた。
コーヒーとパンとゆで卵がついているだけの簡単な朝食だ。
アンドレがコーヒーをオスカルに手渡した。
「ほら、熱いから気をつけろよ」
「ああ、ありがと」

コーヒーを受け取り、何度か吹いた後一口飲んだ。
コーヒーカップを口につけたままアンドレの顔を盗み見る。
なんだかおかしな気分だ、朝目覚めてアンドレが側にいることに、まだなじめないんだ。

でも・・
こんな風に一緒の朝を迎える暮らしが続くのか・・・
毎日当たり前にそこにいて、ともに生活していく、彼と一緒に・・・
それが、こんなに心躍らせる

「オスカル、朝食を済ませ、支度をしたら、アパルトマン探しのため早めにホテルを出よう」
気づけばアンドレはもうパンも卵も食べ終えている
「わ・わかった、すぐに済ませる」
オスカルは急いで朝食のパンを口に運んだ。

二人は朝食を済ませ、身支度を済ませると早々にホテルから出た。
その後は一軒一軒アパルトマンを見て回った。
よさそうな物件があれば、建物に入り、管理人か持ち主と話をした。

「あの、部屋を借りたいんですが」
「君達が?二人とも未成年だね、身元を保証できる人物はいるかね?」
「いえ、それはいません」
「それじゃあ、無理だよ」
思ったよりアパルトマン探しは難航した。
まだ、二人が未成年で、しかも身元保証人がいないことが大きな原因だ。

これには、困った、二人はジャルジェ家から追われる立場だ、オスカルはもちろんだが、アンドレのほうでも知り合いに保証人になるのを頼めば、二人の所在がばれてしまう。
だから保証人なしで貸してくれる家主を探すしかないのだ。
何軒ものアパルトマンを探すが、身元のはっきりしない二人に貸してくれる家主は見つからない。

「困ったな、こうなれば半年分先払いするからと交渉でもしてみるかな?」
「安い物件の家賃の金額なら半年分くらいは捻出できるだろう・しかし・・」

ひどいアパルトマンは見た目もだが不潔でシャワーもなかったりもする
そんな場所にオスカルを住まわせたくはない。
オスカルはアンドレの胸のうちがわかってしまった。
「アンドレ、僕はどんな場所でもかまわないぞ、先払いの交渉でもして、早く住むところを見つけよう」
「そうだな、わかった」

アンドレは内心、もう少し探してみて、条件を下げるのはその時だと決めた。
しかし、その後も二人に貸してくれる家主は現れなかった。
もう日は暮れて夕方だ。

「オスカル、どうした?」
アンドレはオスカルの顔色が悪いことに気づいた。
「少し疲れたみたいだ・・」
オスカルは屋敷を出る前からごたごたして、その足でエレインまで来て、今日はアパルトマン探しで疲れがたまっていた。
「仕方ない、今日はあきらめてホテルに戻るとするか」
「うん・・」
「顔が赤いな」

何気なくオスカルの額に手を当てると
「大変だ、お前熱があるじゃないか!」

急いでホテルに戻ろうとした、その時

「アンドレにオスカルじゃないの!」
声がするほうをみれば、夕べのマルゴだ。
気づけば、ここは『マルゴ』の店の前だ。
マルゴはアンドレに支えられながらもふらついているのに気づいた。

「あら、オスカルどうしたの?」
「熱があってホテルに戻ることころなんです」
アンドレのホテルに戻るという答えに違和感を覚えた。
「ホテル?あんた達、住む場所は決まってないの?」
「はい、今探しているところです」
「そう、あんた達の泊まってるホテルは何処?」
「『ホテルジャルダン』ですが」

それを聞いてマルゴは考え込んだ顔つきになった。

「それなら、まだ距離があるわね、良ければうちの二階で休んでらっしゃい」
「いいんですか?」
「困ったときはお互い様、夜の開店時間には、まだ間があるの」
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