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夜のフェアリー7章の5

マルゴは店の裏側にある入り口から、二人を二階に上がらせた。
二階は物置に使ってるらしい、廊下を隔てて部屋が二つある、そのひとつの部屋に入ると普段使わないものや古い椅子やソファー
がシーツをかぶせておいてある。

「ここは今使用してない部屋だから、遠慮せずに休んでいていいわ」
マルゴはシーツを取り、ソファーの上にオスカルを横にならせ、毛布を取ってきて、オスカルにかぶせてやった。
水入れを持ってきて額に濡れたタオルを置く

朦朧とする意識の中で礼を言った。
「ありがとうございます、マルゴさん」
「いいのよ、ゆっくり休みなさい」

熱のため、オスカルはうなされながら眠ってしまった。
「申し訳ありません、ご迷惑をかけてしまって」
「いいっていってるでしょ、それより聞きたいんだけど」

詫びるアンドレに対してマルゴは質問をした。
「はい?」
「あんた達は、住む場所が決まらないって一体どうして?」

アンドレとすれば、お世話になっておいて、言わないのは失礼に思える。
深い理由は知られたくないが、言えるところだけ伝えることにした

「それは・・俺達はまだ未成年で身元を保証する人がいないので、アパルトマンを貸してくれるところがなかなか見つからず・・」
それを聞いてマルゴは驚いた。
「あんた達、親や親戚はいないの?親しい人も?それで住むところを探そうとしてるの?」
「それじゃあ、見つからないはずよ、よほど条件の悪い部屋以外はね」

やはりマルゴから見ても、まともな家主が二人に部屋を貸すとは思えない
「どういう理由であんた達はこの街に来たの?やっぱり何かわけがあるんじゃないの?」
「それは・・・」
「こんな綺麗な弟さんを連れて、しかもこの子、よく見ると高そうな服着てるのね」

マルゴに詰問されてアンドレは言葉に詰まった。
もちろん、自分達が男女でジャルジェ家から逃げ出してきたことなどいえるわけが無い。
しかし、隠すと、よけい怪しまれて噂を広げられる恐れもある
ここは上手く切り抜けなければ

「実は・・俺とオスカルの両親は5年前に亡くなりました」
「親戚は貧しくて、引き取れず、俺としては学校を辞めて働いてオスカルと二人でやっていく気でした」
「親の家は残っていたしバラ園で働いてもいたので」

「しかし、親戚はまだ年若い俺には無理だといい、しかもオスカルは身体が弱いと来ている」
「二人で暮らすのを反対されて、金持ちの家の養子にオスカルを出す話を勝手に進めたんです」
「オスカルはあの通りの美貌なので、資産家の家も気に入ってぜひ養子にほしい、といわれたんです」

「オスカルは俺といたいといってくれましたが、俺ではオスカルを満足に養ってやれないと苦渋の決断で」
「あいつを説得をし、資産家の家に送り出し、俺は親戚の家でやっかいになることに」
「けど、オスカルは、新しい親よりも、俺と暮らしたいとずっといい続けてくれて」

「俺もオスカルと暮らしたい気持ちが抑えられず、5年たって俺もだいぶ大人になって、どうにか二人でやっていく決意で、とうとう資
産家の家から連れ出してしまいました」

「まあ、そんなことが・・」
思っていたよりも深刻な理由にマルゴは驚きを隠せない

「二人でやっていきます、と書置きを置いてエレインまで出てきました、周りの人には心配をかけるけど、二人で頑張って生活していけばわかってもらえるのではないかと・・」

騙すのは悪いと思うが、俺達が男女でジャルジェ家を出て行ったのを知られるわけには行かない
オスカルが女だとばれたら、ジャルジェ家が探しに来たとき、すぐに見つかってしまう

「俺はオスカルが誰より大事だし、側にいて守ってやりたい、オスカルも俺といることを選んでくれた」
「俺達は唯一の相手だから、離れてはいけないんだ」
アンドレは思わず本音をもらした

話を聞いていたマルゴはいつの間にかグスングスンと鼻をすすりながら涙を流していた。
それに気がついたアンドレは
「あの・マルゴさん」
まさか泣かれるとは・・・

マルゴはハンカチで涙を拭いて返事した。
「あんたの話があんまり感動的で、つい泣いてしまったわ」
「兄弟愛っていいわねえ、両親が亡くなって仲のいい兄弟が引き離されて、それでも一緒に暮らしたくて、金持ちの家を出て二人で
暮らそう、なんて感動的過ぎるわ」

そして気持ちを切り替えてアンドレに提案してきた。
「いいわ!あんた達、明日からここに住みなさい!」
「え?ここに」

「そうよ、二階のこの部屋を提供するわ、ベッドもテーブルもソファーもあるし、シャワーやキッチンも着いてるのよ」
「ここは、以前あたしと亭主が住んでいたところなの、でも子供が出来てから、手狭になって、今は近くのアパルトマンにすんでいるわ」
「物置に使用するだけで、しばらくは使ってはいなかったけど、少し片付けて掃除すれば、なかなか住み心地はいいはずよ」

アンドレはマルゴの強引な申し出に驚くが話を聞いているうちにありがたい話に思えてきた。
見回してみれば、この二階はマルゴがご主人と住んでいただけあって二人ですむには十分な広さだ。
おまけに家具も一通りそろっている

店の二階だから幾分夜はにぎやかだろうが、そこを我慢すれば良い物件だ。
第一二人に部屋を貸してくれるところなど、そうそう見つからないのだ。

「それは・ありがたい申し出ですが、いいんですか?」
「もちろんよ、あたしがいうんだから亭主は反対しないわ」
「では決まりね!明日からここはあんた達の部屋よ」

思っても見なかった話が舞い込んできた。
多少罪悪感はあるが、これで住む場所は確保できた。
「ありがとうございます!」

安心の余りアンドレはオスカルを急いで起こした。
「オスカル、起きろ、住む場所が見つかったぞ!」
でもオスカルは熱で頭がぼうっとしたままだ。
「何・アンドレ・部屋見つかったの?」
「そうだ、ここに住んでいいんだってさ」

「あ・あんた、病人を揺らしちゃ駄目よ」
しかし、オスカルは安堵した顔になり、ふぅとため息を吐き、力なく笑った。
「良かった・これで安心して一緒に暮らせる」
「そうだ、一緒に暮らせるよ」

手を握り合いながら喜ぶ二人を見てマルゴは再び感激してしまった。

こんなに仲のいい兄弟を引き離すだなんて、ひどい話だわ
またハンカチを取り出し涙を拭いた。
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2 Comments

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2020/02/27 (Thu) 21:16 | REPLY |   
うさぎ

うさぎ  

Re: No title

Y様お久しぶりです!

ようやく第7章始めることが出来ました。

おっしゃるようにアンドレは世間知らずのオスカル様を養うための苦労は必須です。

その苦労を泥を吸ってでもとは良い表現ですね♪

今回どちらも若いからこその苦労が続きます、だからこそドラマになるんですが。

お二人がどのように苦労し、努力していくのか見守っていてくださいませ~♪

励ましのお言葉ありがとうございます!


2020/02/28 (Fri) 17:00 | REPLY |   

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