FC2ブログ
うさぎ

夜のフェアリー7章の13

オスカルは家に戻り、ソファーで一人考え込んだ。

僕はアンドレとともにジャルジェ家を出た。
彼と一緒にいられるためなら、有り余るほどの資産も召使にかしずかれる暮らしも、家族さえも、捨ててしまえた。
一人の人間として、愛する人と暮らす生活を選んだのに、それを間違いだというのか!
自分の選んだ道を否定されたような気がして気持ちが暗くなって行く。

そこへ玄関の扉が開きアンドレが帰ってきた
「ただいま」
「おかえり」
急いでソファーから立ち上がった。

「遅くなって悪い、今から夕食を作るよ」
アンドレは大きな紙袋を持参していた。
テーブルの上に紙袋を置き、中身を出していく。
ジャガイモやたまねぎ、にんじんにキャベツにトマトにベーコンや鶏肉とたくさんの食材を買ってきていた。


アンドレが野菜を洗って準備していくのを見てオスカルは思い出した。
そういえば、今日から自分達で作るって言ってたな。
彼の動くさまをじっと眺めた。

アンドレは仕事を探して歩き回った後、買い物に行ったんだ。・・
「どうした?オスカル、はじめるぞ」
「う・うん、わかった」

キッチンに並んで立ち、アンドレがナイフを使ってジャガイモをむいていくのを見せた。
「こうやって親指でコントロールしながら向いていくんだ」
「ほら、やってみろ」
ナイフを手渡され、オスカルはジャガイモの皮をむいてみる。

アンドレのようにするするとは向けず、少し向いては切れてしまう
その間にアンドレは別のナイフでジャガイモをむいていく。
オスカルのむきおわるのを待っていては日が暮れてしまうのだ。
アンドレのむき方をちらちらと見てはジャガイモをむくのだが、やはり彼のようにはいかない。

結局オスカルがジャガイモ1個むく間、アンドレが他の野菜全てむいては刻んでしまった。
その後、鶏肉を焼いたり、野菜シチューを煮込んだりしたが、オスカルはトマトをきったり、言われるままに香辛料を手渡すほかは、アンドレの調理する様子を見ているだけで終わってしまった
やはりアンドレはお母さんを助けて家事をしていただけあって手際がいい・オスカルは感心してしまう。

そして夕食が出来上がった。
夕食をテーブルに並べ、二人は食べ始めた
いつもなら、楽しい会話が始まるのだが、今日は話が弾まない。
それはオスカルだけでなく、アンドレもだった。

二人とも無言で食事を進めるが、突然アンドレが話を切り出した。
「あ・掃除をしてくれたんだな、おかげで綺麗になってるよ」
「僕は一日家にいて暇だから、これくらいはしないとな」
「今日は、何か変わったことが無かったのか?」

「いや・別に何も無い・・」
「そうか・・」

また黙々と食事をし始めた。
しかし、しばらくしてアンドレが再び意を決したように話を切り出した。

「オスカル、実は・・」
「うん?」
オスカルは顔をあげて答えた。
目線の先のアンドレはいかにも辛そうだ。
「いろいろ探したんだが今日も・職が見つからなかった・・」

そうか・仕事が見つからなかったのか・・
「やはり、何処でも未成年で身元を証明する大人がいないのがネックになってしまって断られてしまう」
もちろん残念な気持ちだが、オスカルには、もうわかっていた。

「すまない、もう少し待っていてくれ、必ず見つけるから」
「いや、いいよ急がなくても、お前は頑張ってくれている」

オスカルの顔は無表情でアンドレの心は不安が渦巻く
夕食を食べ終えるとオスカルは立ち上がり、片付けようとする。

「いいよ、俺がやるから」
アンドレがやろうと立ち上がるがオスカルは聞き入れなかった。
「お前は休んでいろ、僕が出来る唯一のことだ」
結局アンドレはオスカルに任せた。

カチャカチャと皿を洗う音をアンドレは椅子に座ったまま聞いていた。
だが、オスカルは洗い終わった皿を拭いて棚に直そうとしたとき、手がすべり、皿が床に落ちた。
ガチャンと音が鳴り、アンドレは立ち上がり、オスカルの許に急いだ。
「オスカル!大丈夫か?」

オスカルは皿の残骸を眼にして固まっていた。
「怪我はしてないか?」
アンドレはオスカルの手に怪我が無いか調べた。

「大丈夫・だ、皿が割れてしまったが・・」
「皿なんてどうでもいい」
アンドレがオスカルを気遣うがオスカルは激しくショックを受けていた。

その間にアンドレが割れた皿を片付けてしまった。
オスカルはそれを眺め
僕は・本当に、役立たずだな

瞳から涙が溢れ出た。
その涙をアンドレには、屋敷を飛び出した自分を後悔する涙に思えた。
オスカルは今の生活が辛いのだろうか!
それとも俺のふがいなさを情けなく思っているのだろうか・・
このままオスカルの心が離れていく、そんなことになれば俺は・・

いきなり後ろから抱きしめた。
アンドレ?
オスカルは驚き後ろを振り向いた。
見ればアンドレは苦し気な顔だ。
「どうした?」

だがその問いには答えず
「後悔してるのか?俺と屋敷を飛び出したことを」
スポンサーサイト



うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 3

There are no comments yet.

-

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2020/03/06 (Fri) 17:34

-

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2020/03/06 (Fri) 17:35
うさぎ

うさぎ

Re: そうなんです もね です🙇‍♀️

ありがとうございます、M様。

出来れば夜のフェアリーが完結するまではお付き合い願えればと思います。

2020/03/07 (Sat) 16:44