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うさぎ

夜のフェアリー7章の28

その日一日中二人はベッドの上で過ごした。
シャツを一枚羽織った姿のままで、抱き合って過ごした。
何気ない会話を楽しんでは口づけを繰り返す。
そして冗談を言うと笑った顔にまた唇を寄せ、肌に触れる。

二人はエレインに来てから乏しかった恋人の時間を埋めるように触れ合った。
でもそろそろ昼だ。
朝からコーヒー一杯で何も食べていない

「何か食べるか?」
「このままでいたいな、こんなゆっくりしたのは久しぶりだから」

どうやらアンドレは起き上がるのが惜しいのだ
オスカルもそれには同感なのだがこのまま夜まで何も食べずに持ちそうにない

「じゃあパンを取ってきてここで食べよう」

オスカルはフランスパンを取りに行った。
オスカルがパンと水を手にして再びベッドの上に座り込むとアンドレはオスカルを背中から抱きすくめる
アンドレにパンを渡そうとするが、彼はオスカルを抱きしめる手を解かず
「お前が食べさせてくれ」とねだる
オスカルはしょうがないな」といい後ろ向きにパンをアンドレの口に入れてやった。

「うん、旨い」
オスカルもパンを自分の口に入れるとまたアンドレに食べさせてやる
それを繰り返し二人でパンを食べつくすとオスカルはコップの水を飲む。

「俺にもくれ」
そういわれてオスカルは水を差し出すとアンドレはコップに口をつけゴクゴクと飲み干していく

オスカルはアンドレのしぐさにドキリとした。
僕が飲んだ水の残りをためらいなく飲み干すしぐさに、目が離せない
まるで僕自身がお前に飲み込まれたみたいだ。・・
水を飲み終わるとすぐに僕に笑顔を向ける

こんな時のお前は、何て・セクシーなのだろう・・・

その濡れた唇に触れたくてたまらなくて、思わず唇を重ねていく
アンドレは待ちかねたようにそれを受け入れる。
そして再びもつれ合うようにベッドで肌を重ねた。

二人は互いのぬくもりを確かめあい安堵した
ずっと触れ合っているだけで幸福だ。
今愛する人が腕の中にいる、まぎれもなく彼は、彼女は自分のものだ

お互いを独占できるこの時間がいとおしくてたまらない

しかし、恋人たちには愛し合う時間はあまりにも早く過ぎて、夜の帳が降りて外は暗くなってきた。

アンドレがベッド越しに窓の外を見た。
「夜になってしまったな、外は真っ暗だ」

オスカルも身体を起こし窓の景色を眺めた。
「もうそんな時間か!」
「腹も減ったし、そろそろ起きるか?」
「うん・・時間のたつのは早いな」

オスカルは立ち上がり名残惜しそうに言う、起き上がれば恋人の時間は終わりだ。

だがアンドレは、素敵な一日の締めくくりを考えていた
「これから夕食を作るのは面倒だな、久しぶりに下の『 マルゴ』の店で食事しないか?」
「え・食事に?そんな無駄使いして良いのか?」
「たまにはいいじゃないか、正式に雇われたお祝いという意味ならかまわないだろう」
「お祝いか、それもそうだな」

お祝いに二人きりで食事に行くなどいかにも恋人らしくて心が弾んだ。
「では決まりだな、着替えたら、『 マルゴ』に出発だ」

急いで着替え、二人は一度裏の階段から出ていき、店の入口から入っていく。

「いらっしゃいませ、あら?」
ちょうど マルゴが店の入り口付近にいた。

「 どうしたの?珍しいわね」
「こんにちは、 マルゴさん」
「アンドレが正式に雇われたので『 マルゴ』で祝おうって」
「まあ!お祝いをうちの店を選んでくれるなんてうれしいわ、じゃあこちらの席にどうぞ」

マルゴはすっかりご機嫌で二人をピアノ近くの席に通した。

「じゃあ、あたしはショーの準備があるから、ロジータ注文をお願い」
マルゴはその場にいるロジータというウエイトレスに後を任せて行ってしまった。

「わかりました」
「ご注文は?」
「ううん・・何がいいかな?」
「今日はろくに食ってないから肉と行くか」

オスカルはアンドレと相談してブイヤベースとステーク・フリットにいんげん豆の煮込みとサラダを頼んだ。

「久しぶりに マルゴさんの歌が聞けるな」
「ああ、楽しみだな」

少しして注文の料理が来た。
二人はニールの料理を堪能する。

「やはり、ニールさんの料理はおいしい、このブイヤーベースなど魚貝とスープがマッチして深い味わいがある」
「そうだな、この肉もちょうどいい焼き加減で旨い」

朝からコーヒーとパンと水しか食べていない二人には格別な味わいだ
しばらくして料理のほとんどを食べ終え、二人は マルゴのショーが始まるのを待った。

そして マルゴが現れ、ピアノの前に行き、ショーが始まろうとした。
すると先ほどのロジータがカクテルを持ってきた。
テーブルに置かれた二つのグラスを前に二人は茫然とした。

「これは?」
「 マルゴさんからのお祝いですって」
マルゴはお祝いのカクテルをふるまってくれたのだ。
二人は マルゴの好意をありがたく思った。

「それからショーが終わった後も残ってほしいとの伝言よ」
「え・わかりました」

ピアノの音が流れショーが始まる。

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Posted byうさぎ

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