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うさぎ

夜のフェアリー7章の37

翌日、オスカルは時間通りに マルゴの店に降りていった。

「おはよう、良く来たわね」

マルゴは昨日元気なく帰っていったオスカルを心配していた。
しかしオスカルは 張り切っていた。

「おはようございます、 マルゴさん、今日もよろしくお願いします」
「え・ええ・・」

てっきり落ち込んでいるものを思っていたのに元気な様子のオスカルに目を丸くした。

「おはようございます、ナンシー、アナベル」
「おはようオスカル」
「おはよう」

やがて店が開き、昨日と同じように客が次々と入ってきた。

「オスカル、あそこの女性客の席にいって頂戴」
「あ・はい」

オスカルは マルゴに指示された通り、3人の女性客がいる席に向かった。

「いらっしゃいませ、ご注文は?」
「えっと、ワインを一杯ずつ、それから・・・」

マダムはメニューを見てからオスカルを見た。
そこには・・・
物語に出てくる王子のような美青年がいる。
他のマダムも頬を赤らめる。

「どうかいたしましたか?マダム」
「お悩みでしたら、また改めて伺いにまいりますが?」
「い・いえ・もう決まっているのよ」

そしてマダムたちはそれぞれのメニューを注文した。

マダムは気になる様子で聞いてきた。
「あの・・・貴方、新しく入った方?」

オスカルは出来るだけ愛想よく答えた。
「はい、昨日からこちらでお世話になっています、どうかよろしくお願いします」

「まあ、そうなの?こちらこそよろしくね」
「あたしもよろしく、貴方のような美青年がいるなんて、『 マルゴ』に来るのが楽しみになったわ」
「本当!店に品が出たような気がする」

マダムたちの言葉にオスカルは恐縮した顔になり

「とんでもない、僕など失敗ばかりやらかして、店に迷惑をかけています」
「しかし、失礼のないように頑張っていきますので、お見捨てになりませんようお願いします」

「もちろんよ、これからはたびたびよらせていただくわ」
「私もよ」
「あたしも毎日でも来るわね」

あくまで紳士的な対応のオスカルにマダムたちはうっとりとした。

「ありがとうございます、ではシェフに料理を伝えてまいります」
マダムたちに、では失礼しますと離れていく

ニールに料理を伝えると、横から マルゴが出てきた。

「オスカル、良かったわよ、彼女たちは貴方に好感を覚えていたわ」
マルゴはオスカルの接客姿を眺めていた。

「あんなものでよかったでしょうか?」
「とてもよかったわよ、なんだか肩の力が抜けたみたいね」

マルゴの言う通りだ、夕べアンドレに言われ気づいたのだ。
パリにいたころの自分は、ジャルジェ家嫡男という名に恥じぬよう客と接するときは、堂々と対応していた。
内心はかなり度胸がいったが、自信を奮い立て、人々が望む自分を演じたものだ
そのころの自分に気持ちを戻したのだ。

「その調子で頑張るようにね」
「はい」

「注文のカスレとトマトソースパスタにとグラタンが出来たぞ」

ガイが料理をカウンターに並べた。
オスカルは出来上がった料理をトレイに乗せ、再びマダムたちの席に向かった。

「お待たせしました」

マダムたちはおいしそうな料理に歓喜した

「美味しそうだわ」
「いい匂いね」

料理を並べつつ、伝えた。

「お待たせしました、ワインはすぐにお持ちします」

すぐに引き返しワインの瓶とワイングラスを持参してきた。
グラスにワインをトクトクと注ぎ、どうぞ、とマダムたちに手渡す。
マダムたちは、それぞれが満足げに受け取る。

オスカルに給仕されマダムたちはご満悦だ。

「では、料理をお楽しみください」
「ええ、ありがとう」

テーブルから去りながら心の中で安堵する。
何とか自分の対応に満足してもらえたみたいだ。
トレイの持ち方も昨日練習した甲斐があって、ふらつかずうまく運べた。

ほっとしていると新たな客が入ってきた。
それは昨日のロイとウィルだつた。
昨日の因縁めいたものを感じ、一瞬嫌な気がしたが、やはり逃げてはおられない。
彼らがテーブルに座ったとたん、そちらに向かった。

「いらっしゃいませ、メニューをどうぞ」
「あれ?お前は昨日のジョッキを割っちまったウェイターじゃないか」

早速痛いところを突かれむっとなるが、ここは低姿勢で臨むようアンドレに言われたのを思い出した。

「昨日は失礼しました」と頭を下げる。
「別にいいが、もうジョッキを壊すなよ」

からかうようにいわれて癪にさわるが、事実なのだから仕方ない
でも、ひるんでなどいられない

勝負はこれからだ
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Posted byうさぎ

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