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うさぎ

夜のフェアリー7章の45

「 マルゴさん、それはどんな人でしたか?」
「そうね・・見かけない男の人だったわ、旅行者のようだった」
「言ってしまってから気が付いたのよ、あんたたちは親族たちから逃げているんだったわね」
「もし、余計な事だったら悪いことをしたわ」
「い・いえとんでもない、多分僕たちが騒がしかったんで聞いたんでしょう」

言いながらもオスカルは不安で仕方なかった。

まさか父が人を雇って僕を探しているのでは!
それでもただの旅行者かもしれぬと自分に言い聞かせながらその後ウェイターの仕事にいそしんだ
その日の仕事が終わり、部屋に帰っていった。

マルゴさんの話、アンドレに言うべきか、でも、アンドレに聞かせたら心配するだろうし
ジャルジェ家からの追っ手をあれだけ気にしてるんだ、不安にさせてしまう。

ふと時計を見れば、もう11時になろうとしている。

アンドレ・遅い
残業で遅くなってるんだな。
彼が帰ってきたときすぐに使えるよう、早くシャワーを浴びるとするか

立ち上がり、シャワー室のほうに行った。
オスカルは仕事の疲れもあり身体に流れるお湯の感触が心地よかった
シャワーをあびていると前向きな考えになっていった。

ただの旅行者で僕たちとは関係ない人かもしれない
それなら言わないでいるほうが得策かも・・・

シャワーを浴び、すっきりした、と思っているとアンドレが戻ってきた。

「今帰ったよ」
「おかえり、遅かったな」

夜着に着替え、濡れた髪をタオルで拭きながら迎えた。

「ああ、急な注文で、今日中にと無理を言われ全員で残業さ」

上着も脱がずにソファーにどっかと深く腰掛ける
見るからに疲労がたまってるのがわかる

「お茶でも入れようか?」
「いや、シャワーを浴びて寝るよ」

立ち上がり上着を脱ぐと、オスカルの髪を片手でかき上げると頬に口づけした。

「お前のすっきりした顔を見るとうらやましくなった」

そのままシャワー室に行ってしまった。

本当に疲れているようだ
ともかく今夜は彼に言うのはやめよう。
仕事で疲れているところに心配事を増やすだけだ。
父だと決まったわけではないのだから・・・

オスカルは不安な気持ちを閉じ込めて、いつもどおりに過ごすことに決めた

翌朝、アンドレが仕事に行き、オスカルは朝食の片づけをした。
掃除しながら食品の足りないものを思い浮かべる

朝食のパンを買いに行こう、バターもそろそろなくなりそうだ。

オスカルは着替えて買い物に出かけた。
デジレに教えてもらったパン屋は焼き立てで美味しいので、いつも客であふれている。
店に入るとパン屋のおかみさんがオスカルに気が付いた。

「あら、オスカルいらっしゃい」
「おはようございますマダム」
「さっきパンが焼きあがったところで、まだ温かいのがあるわよ」

おかみさんが言う通り、目の前のパンは湯気が立って美味しそうだ。

「本当ですね、このまま食べても美味しそうだ」
「それから、うちのパンに合うバターも販売することになったのよ、ほら、これがそうよ」
おかみさんは、バターを手にしてオスカルに見せる。

「いつも買ってくれるからおまけして入れておくわ」
片目をつぶってバターを袋に中に入れた。

オスカルとしてはバターも買うつもりだったから好都合だ。
「ありがとうございます、マダム」

パンとバターを買い、店を出ていった。
オスカルはご機嫌で部屋に戻ろうとした

部屋に帰ったらお茶でも入れてパンとバターを食べるとするか

そろそろマルゴの店が見えてきた。
その時、誰かに呼び止められた。

「オスカル」

その声は・・・
胸がギクリとして立ち止まる。

「久しぶりだな」

心臓の鼓動が早鐘のごとく鳴った

「元気だったか」

恐る恐る見上げると、その顔は、久しく見る父の顔だった。

「・・・お父様・・・」

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Posted byうさぎ

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