FC2ブログ
うさぎ

夜のフェアリー第8章の6

オスカルはバイオリンを手にして 階下へと急いだ。
マルゴはもうすでにピアノ椅子に座り、音を確かめていた。

「お待たせしました、 マルゴさん」
「来たわね、じゃあ、練習を始めるわよ」
「はい、お願いします」

オスカルはバイオリンを弾く準備をして「いつでもどうぞ」と言った。
マルゴはピアノを弾きオスカルはバイオリンを奏でた。

2階にいるアンドレのほうは、ソファーに座りオスカルの帰りを待っていたが
そのうち階下から音楽が聞こえてきたのに気が付き、オスカルと マルゴの演奏が始まったことがわかった。

アンドレは耳を澄ませて聞き入った。
曲は「パリの空の下」

マルゴのピアノにオスカルのバイオリンが合わさっていく
時には明るく、あるときは切なく

オスカルのバイオリンが加わることでより胸に染み入る音となる
アンドレはオスカルが マルゴのピアノに合わせてバイオリンを奏でる姿はさぞかし素晴らしいだろうと想像する。
その光景を直接見たいと思った。

アンドレはその誘惑に打ち勝てず、立ち上がった。
部屋を出て店に通じるほうの階段をそっと降りていく。

階段の手すりに手を置き、カーテンに隠れてピアノが置かれた舞台方向を覗き見る
そこにはピアノを弾く マルゴ、バイオリンを奏でるオスカルの姿があった。

二人は夢中で演奏をしていたおかげでアンドレがそこにいることに気が付かなかった。

ピアノとバイオリンの二重奏が美しく響く
プロの歌手だった マルゴはさすがに舞台映えがしていまだに華やかだ。

オスカルはというと、そこにいるだけで魅入ってしまうほど輝くような存在感だ
舞台のライトを浴びてバイオリンを弾く姿はいつもよりも美しく見える

きっとこの二人のショーは成功するだろう
アンドレは長い時間隠れ見ていた。

「ようやく音があってきたわね」
「じゃあ、今日はこれくらいにしましょう」

何とか形になってきたようなので マルゴは練習を終わることにした。

「はい、ありがとうございました」
オスカルは緊張を解きほっとした。

「でも、まだ完ぺきとは言えないわ、まだまだ練習が必要よ」
「ショーを始めるまでに形になるよう、これから毎日店が終わってから一緒に練習してくれないかしら?」

マルゴは心配そうに問うがオスカルは、その意見に納得していた。
「もちろん、私もそのつもりです、これくらいではお客様に満足していただけないですからね」

オスカルが快諾してくれて マルゴは大喜びだ。

「そういってくれるとありがたいわ」
「あたしも、もっと完成度を高めたいのよ」

「では、明日からまたお願いします」
「ええ、もちろんよ」

マルゴに別れを告げ、オスカルはアンドレの待つ二階の部屋に戻っていった。
部屋に入るとアンドレはソファーに座ってオスカルを待っていた。

「お前、まだ起きていたのか?」
「奥さんが頑張ってるのに一人寝られないだろう」

オスカルはあきれてしまった。
バイオリンを直してアンドレの隣に座る

「明日も朝から仕事だろう、早く寝ろよ」
「わかってるよ、それより練習は進んだようだな」

「うん、やはり一緒に演奏すると息があってくる」
「 マルゴさんとも話したんだが明日から毎日店が終わった後練習することになった」

「明日から毎日?」

「ああ、演奏の完成度を高めるためには特訓する必要があるからな」
「だから、お前が仕事から帰ってきても、私は練習でいないから、お前先に休んでくれ」

オスカルはやる気に火が付き、演奏がうまくいくことしか頭にないようだ
「明日から忙しくなるぞ」

しかし、ショーが成功してほしいとは思うしオスカルを応援してやりたい

「そうか、頑張れよ」
アンドレはオスカルの肩をポンと叩いた。

「うん、頑張るよ」

張り切るオスカルを見ながらアンドレは
自分たちは先日やっと結婚した新婚なのに、夫の俺はほったらかしになるのか、とため息をついた。
スポンサーサイト



うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 0

There are no comments yet.